怖い子宮蓄膿症について!詳しく解説します。
犬の子宮蓄膿症をご存知ですか?痛みや出血を伴い、陰部から膿が出たり、最悪死亡してしまう厄介な病気です。検査等による早期発見・治療が不可欠な病気です。今回はそんな犬の子宮蓄膿症について症状や原因、治療法を解説します。
□子宮蓄膿症とは?
子宮蓄膿症は陰部から子宮に大腸菌などの細菌が入りこみ、子宮の中で増殖し、炎症を起こす病気です。症状の進行は原因となる菌の種類や、細菌が産出する毒素の量によって異なると言われていますが、たまった膿で子宮がパンパンに膨れ上がって破裂してしまったり、細菌の出す毒素が体中に回ってしまって、短時間で死に至るケースも少なくないのです。
犬は1年に1~2回の周期で発情期を迎えます。出血があってから発情期を迎え、そのあと発情休止期という期間に突入するのですが、この発情休止期は妊娠をした場合に、妊娠から出産、そして子犬への授乳をする期間にあたります。犬の発情は定期的なサイクルが決まっているので、妊娠をしてもしていなくても、避妊をしていなければ必ずこの発情休止期を迎えるのです。
◇細菌が入りやすい状態になっている
発情期の期間中は、子宮までの通り道がいつもより広くなります。これは精子を通りやすくして、妊娠をするためのものなのですが、そのために細菌も通りやすくなってしまっているのです。
◇異物を追い出す力が弱くなる
そして、出血があってから発情休止期にかけては、おなかの中にいる子犬を異物として攻撃しないように、異物に対する攻撃力が弱くなります。つまり、この時期に細菌が入りこんでしまうと、撃退する力が低くなっているために、子宮の中で細菌が繁殖しやすくなってしまうのです。
◇細菌にとって心地よい環境になっている
また、この時期の子宮内は子犬のために栄養がたくさんある状態なので、そのことも細菌が増殖しやすい要因になっているのです。
このような理由から、子宮蓄膿症は発情出血(生理)があってから1~2ヶ月の間に発症することが多いです。避妊手術を受けさせていない飼い主さんはくれぐれも注意してください。
□子宮蓄膿症の症状
一般に飲水量が増え、おしっこの回数と量が増加(多飲多尿)します。また、感染症なので体温がやや高くなり、嘔吐を繰り返したり、元気食欲が低下し、体重が減ってくる場合もあります。病気が進行すると、腎不全、敗血症、播種性血管内凝固(DIC)を起こし死に至ることもあります。
なお、子宮内の膿の貯留量と臨床症状の重症度は比例しないとされています。
また前述のとおり、外陰部から膿が出てくるタイプ(開放性子宮蓄膿症)と出てこないで子宮内に貯留するタイプ(閉鎖性子宮蓄膿症)とがあります。
□子宮蓄膿症になりやすい犬種・年齢
幸いなことに、子宮蓄膿症になりやすい犬種はありません。
しかし裏を返せば、子宮蓄膿症は全ての犬種でかかってしまう可能性があります。
避妊手術を受けていない犬で、妊娠出産をしていない犬もしくは何年もの間出産をしていない犬では年齢を重ねるごとに子宮蓄膿症にかかるリスクは増加してしまいます。子宮蓄膿症になりやすい年避妊手術をしていない犬では若い犬でも子宮蓄膿症になってしまうこともありますが、一般的には5歳以上の犬でかかりやすくなります。4歳以上では15%の犬がかかり、9歳以上では発症率がさらに高くなるというデータもあります。子宮蓄膿症は高齢になるにつれて発症率の高い病気となってきます
□予防方法
妊娠させる予定がない犬であれば、早目に避妊手術を受けさせることが予防となります。
犬の避妊手術は、子宮や卵巣を取り妊娠をさせなくする手術です。避妊手術を早めに受けることで、子宮蓄膿症だけでなく犬の乳腺腫瘍になるリスクも下げることができます。1歳未満での避妊手術は乳腺腫瘍になるリスクを大幅に低下させることができるので、子犬から飼われる場合は将来大きくなった時、子犬を産ませるかどうか、避妊手術を受けさせるのかどうかを早目に話し合っておくことが病気の予防にとても大切です。
子宮蓄膿症は避妊手術を受けさせていない中年以降の犬に非常に多く、命を落としてしまうこともある恐ろしい病気です。避妊手術を受けさせていない女の子と暮らしている飼い主さんは、発情出血があった後の2ヶ月くらいは、いつも以上に気をつけて様子を観察してあげてくださいね。
不安な場合は健康診断に連れて行ってあげるのもオススメです。