犬の肛門腺という言葉を聞いたことはありますか?動物病院やトリミングサロンなどで耳にした方もいるかもしれませんが、中には知らないという方もいらっしゃるかと思います。
ここでは犬の肛門腺絞りの重要性や上手に行うための方法やコツを解説します。
そもそも肛門腺とは?
肛門腺とは、犬の肛門の左右にあるものでそこから分泌された液が肛門の左右下部(4時と8時の場所)にある肛門嚢に溜まります。肛門腺の分泌液はややドロッとした状態のものが多く、強烈なにおいを発します。この分泌液は犬によってそれぞれ異なるもので、これを利用してマーキングをしたり、お尻のにおいを嗅ぎ合って情報交換をしたりするのです。ちなみに、敵を撃退するためにクサイにおいを発すると言われているスカンクが飛ばしているのが実は肛門腺の分泌液なのです。
肛門腺に溜まる分泌物
肛門腺から分泌される液体は「脂質」で、形状はサラサラしたものから粘着性のあるもの、色も黄色や茶色など個体によって様々です。これは、普段食べている食事の脂質によっても異なるようで、脂質が多い食事を摂っていると粘着性が高まるようです。
また、高齢になることでも粘着性は増す傾向にあります。いずれも強烈な臭いを放つことに変わりはありません。
肛門腺から分泌される液体は、サラサラしたものから粘着性のあるものまで様々です。色も黄色や茶色、黒色など、個体によって異なります。肛門腺は犬によって臭いが異なるため、個人を判別する役割もあります。
人間の食べ物や脂質の多いドッグフード、おやつを食べている個体ほど粘着性が強くなるようです。また、高齢になり脂質代謝が悪くなる場合にも、分泌液はドロドロとしたものになります。
肛門絞りのやり方
肛門腺絞りは1ヶ月に1度行うと溜まりにくく、炎症を起こしにくいと考えられています。
肛門腺絞りのやり方は片手で尻尾の付け根あたりを持って上に引き上げ、もう片方の手で肛門周囲の4時・8時の部分に人差し指と親指を当てます。軽く揉んでほぐした後、指を少し内側に押し込んで下から押し上げるようにして肛門嚢を絞り上げます。場所がきちんと合っていればあまり力を入れなくてもきちんと出てくるので優しくゆっくり押し上げるようにしましょう。これを2回程行えば分泌液がきれいに出るでしょう。その後はシャワーで洗うかお湯で拭いて清潔にするようにしましょう。分泌液がかからないように、肛門腺絞りをする人は犬の横にいるようにしてくださいね。
自宅でも十分にできるケアですが、むずかしい場合は無理に行うようにせずトリミングサロンや動物病院にお願いするようにしましょう。
絞らないとどうなるの?
肛門周辺は便だけでなく、お座りで土が付きやすいため汚れやすく、病気を起こしやすい環境にあります。肛門腺を絞らないと炎症を起こし、溜まりすぎてしまうと最悪の場合、肛門腺が破裂してしまう可能性があります。
肛門腺に関する病気について知っておきましょう。
◆肛門囊炎
◆肛門周囲腺炎
◆肛門囊腺癌
肛門腺絞りは、最初はなかなかうまくいかない方も多いと思います。絞れないからと言って、力を入れすぎてしまうのは肛門嚢や肛門付近に傷がついてしまう場合があり危険です。また、愛犬が緊張状態にあると、肛門に力が入ってしまい、余計に分泌液が出にくくなってしまいます。
慣れないうちは片方ずつ肛門腺を絞りましょう。優しく声をかけながら行う方法も効果的です。なお、なかなか出ないからと、覗き込んで絞ったら顔にかかってしまう場合もあるため、肛門腺を絞る際には肛門付近に顔を近づけないよう注意をしてください。
愛犬が床におしりをこすり付けていたり、肛門を気にしたりしているようであれば、肛門腺が溜まってしまっているサインです。
肛門腺絞りは難しいと思われがちですが、コツを掴めば飼い主さんでも上手にできます。どうしても難しい場合や、心配な場合は、トリミングサロンや動物病院にお願いするのもひとつの手です。
小型犬やシニア犬の場合は、特に分泌液が溜まりやすいため、定期的なケアを心がけましょう。