なぜ『がん』になるのか
現在、日本人の死因の第1位となっている『がん』ですが、なぜ『がん』は発症するのか。なぜ完全に治らない場合が多いのかという疑問に関して今回はお伝えしていきたいと思います。
「がん」って何?
どうしてがんのために死ぬんだろうか?
そもそも「がん」が外から入ってくるわけではないのに、どうしてわれわれの体の中にがんができるんだろう?
われわれの体は約60兆個の細胞からなっているといわれています。これらの体を構成している細胞は、それぞれ役割を持っていて、しかも、欠ければ再生されるか補給され、かといって増え過ぎることもなく全体の調和を保っています。正常細胞だからです。
ところが,この正常細胞が,何らかの原因で変化してできたものががん細胞なのです。
菌やウイルスのように外から入ってきて悪さをするのと違って,もともと自分の体の中に持つ正常細胞が変化するのです。だからかえってやっかいなのです。
悪さというのは,がん細胞が身体全体の調和を無視して無秩序に増殖し続け、周囲の正常な組織に侵入してその組織を壊し、血管やリンパ管を通って身体のあちらこちらへ広がり、またそこで悪さをするのです。
最後には,正常組織が摂取しようとする栄養をどんどん取ってしまい、体を衰弱させ(この状態を悪液質といいます)、そしてついには死にいたらしめるのです。だから悪性といわれるのです。
正常細胞がどのようにしてがん細胞になるのだろう?
いろいろな研究でわかってきたことは,正常な細胞の中にある遺伝子が何らかの原因で傷つくためだということです。つまり,がんは遺伝子の病気なのです。
ただここで注意して欲しいのは,「遺伝子の病気」と「遺伝病」とは違うということです。
がん細胞は,正常な細胞の遺伝子2個から10個程度の傷がつくことにより発生するのです。大部分のがん細胞は,1個の「体細胞」に由来します。この中に「がん遺伝子」や「がん抑制遺伝子」があるのです。
「がん遺伝子」は何らかの原因で刺激されたり傷がついて遺伝子の動きが過剰になったり異常になると,正常細胞をがん細胞に変える働きをします。
一方,「がん抑制遺伝子」は,正常細胞ががん化するのを抑えるブレーキの役割をするのですが,それも何らかの原因で障害を受けると抑制する働きがなくなったり弱くなって,結局,細胞をがん化させてしまうのです。しかし,これらは親から子へと伝わる「遺伝病」ではありません。このように,がん化の仕組みが分かってきたのです。
がんって痛いの?がんの大半は痛みを伴います。
がんの痛みは、早い時期から出始めて末期に近づくほど痛みが激しくなる事が多いです。 初期がんでは3分の1、末期がんでは3分の2以上の人が痛みを感じると言われています。
では、どのくらい痛いのでしょうか?
内臓痛では、締め付けられるような鈍い痛みを感じます。
骨転移の場合は、体を動かす時に鋭い痛みを感じます。
神経因性疼痛では、神経そのものが傷つけられるので痛みも激しく、焼けるような、もしくは電気が走るような痛みに襲われます。痛みをがまんすると、からだや神経が痛みに対して過敏になって、同じ強さの痛みでもより強く感じてしまいます。
つまり痛みには何一つ良い事がありません。
その痛みや苦しみを和らげる医療として「緩和ケア」があります。
緩和ケアとは「痛みや苦しみを和らげることを優先して行う医療」です。
今は末期になってからではなく早期から緩和ケアを行い、痛くない、苦しくない医療を目指しています。
現代はこうしたがんの痛みに対する医療も進んでいる
がんになる前に気づけないの?がんは、ある程度病巣が大きくならないと症状らしい症状が出てこないため、 がんになる前に気づくという事は通常ありません。
しかし、がんの大きさが1~2センチくらいの早期に発見できれば治癒率はかなり高くなります。 例えば、患者数の多い胃がんの場合、ごく初期の段階で発見・治療できれば5年生存率は99%以上と非常に高い確率となります。
つまり、がんは早期発見がとても大事!という事です。
ではがんを早期発見するために私たちが出来る事はなんなのでしょうか?
①年に1回の「健康診断」を受ける
お笑いタレントの宮迫博之さんは健康診断で初期の胃がんを発見しました。 健康診断を受ける事で、がんの早期発見につとめましょう!
②定期的に「がん検診」を受ける
がん検診は、がんの死亡率を減少させることができる確実な方法です。 症状が出た時は早期発見ではありません。 症状が出ないうちに定期的に検査することが大事です。
③アクションを起こす
もし、検査結果に何らかの異常があり、「医師の診断を受けてください」と記載があった場合、 以外とすぐに病院へ行かない方が多いです。 大したことではありません。 検査結果に従い病院へ行きましょう! こういった行動を起こすことが、早期発見の3つ目のポイントになります。
がんの三大療法
手術療法
がんの病巣を切除し、その臓器の周辺組織やリンパ節に転移があれば、一緒に切り取ります。早期のがんや、ある程度進行しているがんでも、切除可能な状態であれば、手術療法が積極的に行われます。
がんのかたまりが一気に取れることと、検査ではわからないごく小さな転移(微小転移)がなければ完治の可能性が高いことがメリットです。
しかし、体にメスを入れるため、創部(キズ)の治癒や全身の回復にある程度時間がかかり、切除した部位によっては臓器や体の機能が失われることもあります。
こうしたデメリットを小さくするために、最近は、切除する範囲をできるだけ最小限にとどめる方法(縮小手術)や、内視鏡(小型カメラ)を使った腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術など、体への負担(侵襲)を少なくする手術の普及が進んでいます。
【問題点】
創部(キズ)の治癒と全身の回復に時間がかかる。
臓器を切除することによって、臓器や体の機能が失われることがある。
ごく小さな転移(微小転移)は治療できない。
手術不能な場所にできたがんには適応しない。
【対応】
縮小手術、内視鏡下手術、腹腔鏡や胸腔鏡での手術によって体への負担(侵襲)を小さくすることが可能
化学(薬物)療法
主に、抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療方法です。抗がん剤の投与方法は、点滴や注射、内服です。血液を通して全身をめぐるため、ごく小さな転移にも効果があります。
一方、脱毛、吐き気、倦怠感、しびれ感など、副作用の症状や、肝臓や腎臓、造血器官などへの障害が避けられず、患者さんにとってつらい治療になりがちなのが難点です。
しかし、吐き気などの副作用をやわらげたり抑えたり、白血球の減少を抑える薬の開発などによって、日常生活に支障がない程度に、症状を軽くできるようになってきています。
また最近は、がん細胞だけに作用する分子標的治療薬の開発が進み、実用化されているものが増えています。
このほか、乳がんや子宮がん、前立腺がん、甲状腺がんなど、ホルモンが密接に関わっているがんに対しては、「ホルモン療法(内分泌療法)」がよく行なわれます。
特定のホルモンの分泌や作用を抑制することで、がん細胞の活動を抑えて腫瘍を小さくしたり、転移や再発を抑えたりします。副作用は比較的少なめですが、長期間治療を続ける必要があります。
【問題点】
がん細胞以外の健康な細胞にも悪影響を与えるため、さまざまな副作用があらわれる可能性がある。
がんの種類によっては抗がん剤の効果があらわれにくい。
高額な薬を長期にわたって使用する場合もある。
【対応】
副作用を小さくする薬で、痛みや辛さをやわらげることが可能。
放射線療法
がんの病巣部に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる局所療法です。治療前の検査技術や照射方法の進歩によって、がんの大きさや位置を正確に測り、その部分だけに集中的に照射することが可能になって、効果は格段に向上しています。
また、体の外側から放射線を照射する「外部照射」だけでなく、放射線を出す物質を密封した針やカプセルを病巣部に挿入する「密封小線源治療」、放射性物質を注射や内服で投与する「放射性同位元素内用療法」があります。
照射する部位によっては、一時的に皮膚や粘膜の炎症症状などの、副作用があらわれることもあります。
放射線療法に使われる放射線としてよく知られているのはX線ですが、このほか、粒子線を使う陽子線治療や重粒子線(炭素イオン線)治療も実用化が進んでいます。
【問題点】
放射線の影響により、照射部分の炎症症状などの放射線障害があらわれる
めまいなどの全身症状があらわれることもある。
密封小線源治療、放射性同位元素内用療法では、一部、行動の制限が必要。
【対応】副作用に対しては、症状をやわらげるケアを行う
まとめ
がんに関しての基礎内容いかがでしたか?がんに関してはもっと複雑な情報がいっぱいあります。しかし、生活習慣を規則正しくすることで発症を防ぐこともできる病気です。皆さんも規則正しい生活を通じて健康的に過ごしましょう。