コロナで医療保険はおりる?

 

新型コロナウイルスのニュースが出始めて、日本で緊急事態宣言がでてからしばらく経ちました。

皆さんの住む地域でも感染者が出たことが話題に挙がっているかもしれません。

今回は、いまだはっきりとした治療法が見つかっていない新型コロナウイルスに感染した場合、保険から給付金等は支給されるのかを生命保険会社などから解説していきます。

また、健康保険等の公的保障の対応についても確認しておきましょう。

 

 

【新型コロナウイルスに感染した場合に保険で保障されるのか】

新型コロナウイルスに感染した場合、生命保険会社の商品で保障対象となるのかを確認しましょう。

■医療保険
多くの生命保険会社から取り扱い方針が発表されていますが、新型コロナウイルスに感染し、医師の指示のもと入院した場合は、通常の疾病での入院と同様とみなされます。そのため契約通り、入院日数に応じて医療保険から給付金が支払われます。

もし、入院後に通院することになっても、通院給付金が支給される医療保険であれば給付金が支払われます。

ただし、通院給付金は「〇日以上の入院を経た場合に限る」など、入院後の通院に限られることが多いため気を付けてください。手術給付金についても、入院給付金・通院給付金と扱いは同様です。

また検査費用ですが、もともと医療保険には「検査費用給付金」という項目は設けられていないため、特に給付はありません。ただし、感染疑いでの検査入院であっても医療保険の保障対象となります(医師の指示による入院に限る)。入院して検査を受けるならば、入院日数に応じて給付金を受け取ることができます。

 

■死亡保険
新型コロナウイルス感染が原因で死亡した際も、通常の病気での死亡時と同様に死亡保険金が支払われます。しかし、不慮の事故で死亡、もしくは高度障害を負った時に死亡保険金に上乗せされ支払われる「災害割増特約」の対象となりません。

 

■就業不能保険
新型コロナウイルスに感染すると、検査や入院、治療で長期間仕事を休む可能性もあります。働けない間の生活サポートのための保険「就業不能保険」は適用されるのでしょうか。

この点は「個別の契約内容で違う」と言えるでしょう。就業不能保険は就業ができない状態になっても一定期間は給付金が支払われません。支払対象外となる期間は60日や180日など、契約内容によって違います。60日以上もしくは180日以上、就業不能状態が続けば給付されますが、その期間以下で仕事に復帰すれば支払対象外となります。

 

 

 

【新型コロナウイルス感染症に関して公的保険は適用される?】

新型コロナウイルス感染症にかかる医療費は大きく分けて、「検査にかかる医療費」と「治療・入院等でかかる医療費」の2つに分かれます。

 

新型コロナウイルス感染症の検査にかかる医療費

新型コロナウイルス感染症の「検査にかかる費用」に関しては、厚生労働省が発表をしたように2020年3月6日から公的保険が適用がされるようになりました。

1回あたりの検査にかかる費用に関しては下記の表を参照ください。

区分 対象者 金額
A
  • 6歳から(義務教育就学前)70 歳までの者・70 歳以上の者のうち、現役並みの所得(標準報酬月額 28 万円以上又は課税所得 145 万円以上)を有する者(医療保険 3 割負担相当の人)
(1)5,850 円
(2)4,500 円
B
  • 6歳未満(義務教育就学前)の者 ・70 歳から 75 歳までの者 (医療保険 2 割負担相当の人)
(1)3,900 円
(2)3,000 円
C
  • 75 歳以上の者 (医療保険 1 割負担相当の人)
(1)1,950 円
(2)1,500 円

※(1)は検体採取を行った指定感染症医療機関等以外の施設へ輸送し検査を実施した場合、(2)はそれ以外の場合。

※厚生労働省「新型コロナウイルス核酸検出の保険適用に伴う行政検査の取扱いについて」より

 

【新型コロナウイルス感染症の治療・入院等でかかる医療費】

普段、病気の治療や入院にかかる医療費のうち、公的な医療保険が適用されるものに関しては、原則、3割(現役世代の場合)の自己負担をします。

しかし、この新型コロナウイルス感染症は「指定感染症」に指定されているため、新型コロナウイルス感染症で入院した場合の医療費の一部は公費で負担されることとなりました。

指定感染症とは
既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、感染症法上の規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの(感染症法第6条)
※厚生労働省「指定感染症及び検疫感染症について」より

 

自己負担がどの程度軽減されるかに関しては、まだ決まっていないようですが、新型コロナウイルスが原因の入院等にかかる医療費に関しては、自己負担額が少なくなるように調整されていくと考えられます。

また指定感染症に関しては、既に自己負担を軽減する制度を導入している都道府県もあります。

例えば、東京都においては、世帯が負担する所得税額によっては最大2万円ほどの自己負担はありますが、これを除く金額を公費として負担する仕組みが採用されています。

 

ポイント
新型コロナウイルス感染症にかかる医療費は公的な医療保険が適用される。
「指定感染症」にかかる医療費に対して、自治体によっては助成金を出している場合もある。
都道府県等の自治体と国の制度によって、新型コロナウイルス感染症の医療費をどのように負担していくかは、今後の状況によって変化する可能性があるため、最新の情報を確認するようにしましょう。