クリニックにおけるマーケティング戦略

クリニック経営にも「マーケティング」が必要な時代

 

「マーケティング」とは「顧客の価値観やニーズをとらえて、商品やサービスが売れる仕組みを作ること」だと言われています。ただ単純に、商品やサービスを作って売るという話ではなく、「ニーズの調査」「商品・サービスの企画」「開発・生産」「販売促進」「提供」「顧客サポート」まで、顧客のニーズや価値観を中心にした総合的な企業活動が「マーケティング」です。様々な特徴を持った競合クリニックが溢れている昨今、クリニック経営にもマーケティングが必要な時代になってきています。「どのようなクリニックが求められているか」「どんなサービスを提供すべきか」「どうやってそのサービスを提供するか」「どうやってクリニックを知ってもらうか」「かかりつけ医として末長く寄り添うためには何をすれば良いか」など、患者の価値観やニーズを深掘りして考え抜くことが、これからのクリニック経営には求められています。

 

患者の来院までの行動プロセスを整理する

 

マーケティングで最も重要なことは、徹底した「顧客志向」です。クリニック経営で言えば、「ウチのクリニックはココがすごい」「こんな特別な技術がある」というようなクリニック側主体(プロダクトアウト志向)の考え方ではなく、徹底して患者の価値観やニーズに合わせて考えること(マーケットイン志向)が重要です。患者の価値観やニーズを理解するにあたっては、まずは、患者の行動プロセスの整理をすることがオススメです。「クリニックを認知し」「興味・関心を持ち」「他クリニックとの比較・検討をし」「実際に来院する」という一連の行動の流れの中で、患者が各段階において、どのような心理状態にあり、何を考え、どのようなことに困ったり不安を感じているのかを想像しましょう。また、各段階において、患者とクリニックはどのような接点を持っているのかを棚卸しして、そこに対して実施すべき施策を考え、実行していきましょう。

 

やみくもに施策を打ってはいけない

 

マーケテイングにおいて、「顧客志向」と同じく、もう一つ大切なことが「戦略性」です。「駅看板や電柱広告を出してみよう」「ホームページを最新のデザインに変えてみよう」「クリニックのFacebookとTwitterを始めてみよう」「動画コンテンツを出してみよう」など、ただ思いつくままにやみくもに施策の数を打っても、残念ながらなかなか成果は出ません。むやみに小手先の施策を実行する前に、一旦落ち着いて、まずは各施策のつながりを考えましょう。前段でお話しをした「患者の行動プロセス」の全体像を俯瞰して、「このような心理状態の患者に対して、こういう行動をしてもらうことを目的として、このような施策を実施しよう」「それを経て、その後の患者はこういう心理状態のはずなので、次は・・・」といったように、一連のつながりを意識しながら、戦略性を持って各施策を実行することで、きっとより良い成果につながるはずです。

 

まずは知ってもらうことが大切

 

集患が思ったよりうまくいかず、「クリニックをもっと良くすれば、集患ができるはずだ!」と、クリニックの外装・内装のリフォームや、施述サービスの改良などを、頑張って実施するケースが少なくありません。しかし、残念ながら、実はそれだけではあまりうまくいかないことが多いのが実情です。集患がうまくいかない理由、それはずばり、「そもそもクリニックが人々に知られていない」ことです。「クリニックの質」ではありません。どんなに良いクリニックであったとしても、そもそも認知がされていなければ、残念ながら来院されることはないのです。もちろん、クリニックの質を高めることも当然大切なことではありますが、それ以上に、まずは「いかにして多くの人に知ってもらうか」というポイントに意識を集中して、認知獲得のために、どのような宣伝活動をすべきかを考えてみましょう。

 

オフラインでの認知獲得施策

 

インターネットなどのオンラインに頼らない、従来からあるオフラインでの認知獲得施策として、最もオーソドックスな手法の一つが「駅看板」です。クリニックの最寄駅の構内や出口付近に、クリニックの名前や住所、電話番号などが書かれた案内看板を出す方法です。インターネットで駅看板に関する情報サイトを調べると、どの駅でどれ位の金額で広告掲載ができるのか調べることができます。また「電柱広告」も有用です。クリニックの近所の電柱に広告スペースがあれば、トライしてみると良いかもしれません。ただし、それらの広告を出す際には、医療法の広告規制には留意をしましょう。一般的な商品やサービスとは異なり、医療広告は、主観的過ぎる表現や治療効果をうたう表現が禁止されています。広告実施の際には、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」等を参考にしながら、慎重に表現方法を考えるようにして下さい。

 

オンラインでの認知獲得施策

 

インターネットが普及した昨今の時代背景においては、オンラインでの認知獲得施策も大いに効果を発揮します。検索エンジンで検索された際に、クリニックのホームページが上位に表示されるように対策をする「SEO(Search Engine Optimization」。Google Mapで検索された際に、クリニックの情報が上位に表示されるように対策をする「MEO(Map Engine Optimization)」など、様々な技術があります。また、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNS(Social Networking Service)での情報発信も有用です。オンラインでの認知獲得施策に関しては、少なからず技術知識なども必要になってくるため、プロの力を借りる方が効率的かと思います。豊富な知見を持った、信頼のおける外部業者に支援を依頼しましょう。