年金の仕組み
皆さん将来の年金に対してどういう印象を持っていますか?全くもらえないのではないかと不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は日本の年金の仕組みがどのようになっているのかをお伝えしていきたいと思います。
日本の公的年金制度は、自分の払った保険料が貯蓄され、将来そのお金を受け取るという制度ではありません。
働いている世代が払っている保険料は、現在の高齢者の年金給付に充てられるという「世代間の支え合い」によって成立している制度です。
2010年の時点では3人で1人の高齢者の年金を支えていましたが、2040年頃には1.5人で1人の高齢者の年金を支えることになります。
では現役世代、特に若者は将来年金をもらうことができるのでしょうか?
こう考えるのは当たり前ですし年金制度に不信感を持っている人は増えています。
確かに、今後1人あたりの負担は増え、受け取れる年齢も引き上げられる可能性があります。
国民年金の老齢基礎年金は、2分の1が国庫負担(税金)でまかなわれています。これからも年金保険料で足りなくなった場合は税金で補うことになります。
年金は払うだけ無駄ではなく、納めた額以上の恩恵を将来受けることができるのです。
公的年金は2階建て
公的年金には、20歳以上の全国民が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金の2種類があります。
厚生年金に加入している場合は、国民年金と合わせて2つの年金に加入していることになるので、日本の公的年金制度は「2階建ての構造」と言われています。
国民年金とは
国民年金は1961年に始まった「国民皆年金」の呼び声を基に始まった年金制度です。国内に住所を持つ20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、一定の受給資格を満たすことで「老齢基礎年金」が受け取れます。
年金を受け取ることができるのは65歳になってからです。
国民年金は満額で779,300円です。そこから保険料を支払っていない月数を引いて計算します。
被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者、第3号被保険者に分けられます。
第1号被保険者
対象者
・自営業者 ・学生 ・フリーター ・無職の人
納付方法
納付書を使った納付や口座振替で、自分自身で納める。
※学生などで収入が無く納められない場合は、免除あるいは猶予あり
第2号被保険者
対象者
・厚生年金を納める事業所の被雇用者
納付方法
国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれているため、勤務先がまとめて納める。
第3号被保険者
対象者
・第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者
※年間の収入が130万円未満の人
納付方法
配偶者(第二号被保険者)や扶養者が加入する年金制度で一括負担される。
※自分自身で保険料を納めることはない
厚生年金とは
厚生年金は、国民年金にプラスアルファの形で年金保険料を納付する、いわば「2階部分」の保険です。
被保険者となるのは、一般企業に勤めるサラリーマンや公務員などです。
保険料の納付額は月給(標準報酬月額)の18.3%を負担することになっており、その半分は会社が負担しています。
各人の収入に応じて納める保険料が異なるのは、厚生年金の特徴と言えるでしょう。
厚生年金被保険者は、会社の就業規則などに定められている所定労働時間、所定労働日数のうち、4分の3以上を満たしている従業員が加入します。
4分の3未満であっても、以下の条件に該当する場合は厚生年金の被保険者となります。
- 雇用が1年以上にわたって見込まれている
- 所定労働時間が1週間に20時間以上ある
- 賃金が月額で8万8000円以上ある
- 勤務している企業が常時501人以上である
- 学生ではない
会社や役所などに就職したときから退職するまでが加入期間となり、会社を辞めて自営業者になった場合や、結婚して配偶者の扶養に入る場合は、国民年金の第1号被保険者や第3号被保険者へと変わります。
なお、もらえる年金は「老齢厚生年金」と呼ばれ、老齢基礎年金に上乗せされます。
国民年金・厚生年金の保険料について
国民年金の保険料は毎年変わってきます。
2017年度:月額 16,490円
2018年度:月額 16,340円
2019年度:月額 16,490円
厚生年金の保険料は今受け取っている給与の額によって変わってきます。
そして厚生年金保険料は会社と折半です。会社が半分負担してくれるので働いている方としてはとてもお得になります。
※厚生年金は2階建て部分になりますので、受取額には国民年金部分も含まれています。
また、第2号被保険者(会社員、公務員等)に扶養されている第3号被保険者については、保険料の支払いはありません。第3号被保険者の年金は第2被保険者の保険料よりまかなっているからです。
これまでは年金を受け取るためには、保険料を25年以上払い続けなければ受け取ることができませんでした。それが2017年8月1日より、資格期間が10年以上に変更になりました。
累計で10年間年金の支払いがあれば、将来年金を受け取ることができます。当然支払い期間が長いほうがより多くの年金を受け取ることができます。(保険料免除期間も含まれます)
老齢年金の受け取り時期は、繰り上げ/繰り下げができます
老齢年金の受給開始時期は、「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」ともに、原則として65歳からとなっています。
ですが、ライフスタイルは人それぞれで異なりますよね。「60歳で退職したので収入がなくなったので、早く年金を受け取りたい」という方もいれば、「65歳になったが、まだまだ働いて収入がある」という方もいます。
そこで、老齢年金の受給開始時期を繰り上げたり、繰り下げたりすることができます。
老齢基礎年金の場合は、希望すれば60歳から受け取ることが可能です。
しかし、繰り上げた月数×0.5%が減額され、その額が生涯、続くことになります(60歳まで繰り上げた場合、5年×12ヵ月×0.5%=30%減額)。
一方、受給開始時期の繰り下げは、最長で70歳まで遅らせることが可能です。この場合、繰り下げた月数×0.7%が増額されます(70歳まで繰り下げた場合、5年×12ヵ月×0.7%=42%増額)
公的年金は障害や死亡時に生活保障となる機能があります
あまり認知度が高くありませんが、「生活保障のための保険機能もある」という点も公的年金の強みです。 例えば、大病を患って体が不自由になったときは「障害基礎年金」を受け取ることができます。
民間の保険会社にも同様の商品は多いですが、国民年金における障害年金と同じくらいの広い範囲の障害に対応している保険はありません。
受け取れる年金額も、状況によっては老齢年金よりも1.25倍になることもあり、さらに子どもの数に合わせて増額されます。
また、病気や事故によって家族を残して死亡したときは、残された子供が18歳になるまで「遺族基礎年金」の支給を受けられる点も、国民年金の強みです。
ただ、受給対象となるには、国民年金保険料を加入期間の3分の2以上の期間、納付し続けていることが条件となっています。
国民年金の免除や猶予の制度があります
収入が減ってしまい国民年金保険料が支払えない場合、免除制度や猶予制度があります。
近年、国民年金保険料の未払いや滞納などが社会問題となっています。
保険料を納めることが経済的に苦しい場合は、一定の手続きをすれば、保険料の支払い免除や猶予を受けることができます。
免除制度を利用することで将来年金が受け取れる累計にカウントすることができますし、全額免除の場合でも年金の半分は受け取ることができます。
免除や猶予に該当する場合、この制度を利用しないと損です。
詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
まとめ
皆さんが加入している公的年金制度に関して今回はお伝えさせていただきました。
年金制度に関しては他にも様々な情報がありますが、今回は基本的な内容を中心にお伝えしました。
もっとしりたいというか方は厚生労働省のサイトを見て頂けると詳しく解説が載っていますので記載しておきます。
1.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/index.html
2.https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/structure/structure03.html