犬を飼うということ

犬をお迎えするということは、飼い主にとっても人生の一大イベントです。

軽い気持ちや勢いではなく、「犬を飼うとはどういうことなのか?」という基本の心構えを十分に理解し、じっくり考えてから決める必要があるでしょう。今回は、犬を飼うことを検討している人に向けて、事前に確認しておきたい心構えや飼育の条件について説明します。

 

犬を飼うことのデメリット

・自由に旅行に行けなくなる

犬を飼えば自由に旅行に行くことはできなくなります。ペットホテルに預けることもできますが、たいてい犬にとって大きなストレスになります。海外旅行であればさらに難しくなります。 家族、友人など「いざというときに預かってくれる人はいるかどうか」は事前に確認しておきましょう。

 

・飼いはじめの頃は夜泣きする

犬を迎えてから数日〜数週間は、犬の夜泣きで睡眠不足になる覚悟をしておきましょう。初日からひとりですやすや眠ってくれることは稀です。

 

・毎日散歩が必要

わんこによっては、雨の日もカッパを着せて散歩に行くことになるかもしれません。

また、散歩がほとんどいらない犬種もいますが(わんこ自身は行きたがるかも)、逆に1日に1時間以上連れていく必要のある犬もいます。「毎日時間を取れるか」ということは、飼い始める前によく考えなければなりません。

 

・意外とお金がかかる

余裕をもって初期費用として、子犬代+10万円くらいを見ておくと良いでしょう。

もちろん、毎月ごはん代やペットシーツ代がかかります。また、狂犬病の予防接種やワクチン、フィラリア・ノミダニ予防などは毎年行う必要があります。病気になれば、さらに費用はかさみます。ごはんやおやつにこだわれば、年間20〜30万円かかることもあります。

 

・犬を飼える環境?

犬が育てられる住宅環境か?
犬を飼う場所は、家の敷地内で飼う「外飼い」か、屋内で飼う「室内飼い」に分かれます。いずれの場合でも、そもそもペットの飼育が可能な家に住んでいることが大前提となります。
特にアパートやマンションのような集合住宅の場合には、ペット可の物件かどうか事前確認が必要です。また、ペット可であっても、「小型犬に限る」などといった条件付きの場合もあるので注意しましょう。

 

・飼育時間を確保できる?

飼育環境やお金と並んで重要なのが、飼育時間の確保です。犬を1匹飼うことは、子どもが1人増えるようなものだとも言われるぐらい手間がかかることです。
どんなに忙しいときでも、最低限犬を飼うための時間が取れるか? どのように時間を確保するのか? あらかじめ考えておきましょう。
・毎日の世話をする時間は確保できる?
・しつけ、トレーニング(主に1歳までのパピー期)
・1日2回程度のご飯の世話
・1日2~3回の排泄の世話
・1日1~2回のお散歩
・1日1回程度のブラッシングケア
・毎日のスキンシップ、遊び
・犬が汚れたときのシャンプーなどのケア犬のお世話にはかかる時間は、少なく見積もっても1日に1時間以上はかかるでしょう。さらに、犬が散らかした部屋の掃除など、間接的にかかってくる時間もあります。
・家を空ける時間が多くないか?
・出勤時間/帰宅時間はどれくらいか
・残業が続くことがないか
・買い物や用事で長時間家を空けることはあるか
・突発的な泊りや出張などは多くないが
1日のうち大半が留守になる場合は、犬を飼うには厳しいと言えるかもしれません。
犬がどのくらいの時間1匹でお留守番できるかは、犬種や犬の性格によっても変わります。
多くの飼い主さんは、1回のお留守番を5時間程度まで、長くても10時間程度に留めている場合が多いようです。
犬を飼うメリット
・生活リズムが規則的になる

犬は朝になれば起こしに来てご飯をねだったり、散歩に行きたがります。自分ひとりの生活なら、今日は朝ごはんは抜きでギリギリまで寝ていようといった不規則な生活も可能ですが、犬が居るとそれに合わせる必要性が出てきます。いつも決まった時間に起きて、朝ごはんを与えて散歩に連れて行くリズムが出来上がります。

夜も散歩に連れて行く必要がありますので、自然と遅くまで飲み歩くことを避けるようになりますし、次の日の朝の散歩を考えると、あまり夜更かしもしない早寝早起きの生活スタイルになるでしょう。ギリギリまで寝る生活スタイルから脱却し、いつもより1時間早く起きてゆっくりと犬との生活を過ごしてみてください。

 

・運動不足が解消される

犬は散歩が大好きです。朝晩30分づつ散歩に行ったとすると、あなたは1日1時間余分に歩いていることになります。活発な中型犬などの場合でしたら、朝晩1時間づつということになるでしょうから、更に多くの運動になるはずです。自主的に始める運動ではなく、半分強制的な運動ですので、やるしかありません。

ウォーキングでは運動強度が不足していると感じる方は、犬と一緒にジョギングや、登山などに挑戦してもいいですし、飼い主と一緒にフィールドを走り回るアジリティ競技に参加する選択肢もあります。

散歩は、いざ始めてみる、仕方なしに嫌々やっているような感じではなくなるはずです。決まった散歩コースを行くのもよし、違うルートを探検しながら歩くのもよし。きっと外に出て散歩するのも悪くないものだなぁと感じるはずです。

それに楽しそうに匂いを嗅ぎながらきょろきょろしている愛犬を見るだけで、とても満ち足りたおだやかな気分になれますよ。

 

・癒やしを与えてくれる

家に犬がいるだけで、家の中がぱーっと明るくなります。普段から忙しい毎日を過ごしている人でも、家に帰って犬と触れ合えば、気持ちをリフレッシュすることができます。

犬を飼ったことがない人にとっては、犬が家にいると癒されるといわれてもピンとこないかもしれません。

家に犬がいるだけで、ちょっとした嫌なことなんてすぐに忘れてしまったり、気にもならなくなります。

その場の空気を温かくて幸せな空気に変えてくれる存在です。犬を飼うようになってから、表情がとっても穏やかになった人も少なくありません。

 

 

以上が犬を飼うときに必要な心構えや条件に関する解説でした。
記事を読んでみて、「思っていたよりも厳しいな」と思った方もいるかもしれません。
お金や時間の確保等、1人では少し難しいことも、家族の理解や協力によりクリアできる場合もあります。困ったときはまず周囲に相談してみましょう。犬を飼うときは「飼い主が楽しく、犬が幸せで、周囲の人に迷惑をかけない」ことがイチバンだと思います。そのためには、飼う前からしっかり情報を集めることが大切です。

かわいいから、写真を撮りたいからなどと安易な気持ちで犬を飼うのはやめてください。

犬には飼い主さんしか頼る人がいません。飼い主さんがすべてです。そのことをしっかり頭に入れて飼うことを検討してみてください。犬との生活は笑いあり、癒やしあり、驚きありで毎日が感動的です。

大切な家族の一員になるようにしっかり育ててあげてくださいね。