10万円給付だけじゃない、利用できる支援制度
緊急経済対策として国民一律10万円の給付。ただ、それに限らず新型コロナ対策で新設・拡充された制度は多い。今は雇用が守られているサラリーマンでも、減収や失業などいざというときのために、利用できる制度は把握しておくべきだ。
新型コロナ禍で条件緩和が進む。いざというときの「支援制度」
「新型コロナの影響で急激に生活が苦しくなった場合、まずは社会福祉協議会が窓口の『生活福祉資金貸付制度』の利用を考えましょう。『緊急小口資金』と、『総合支援資金』の2つがあり、ともに無利子で借りられる制度。
3月からは特例で、新型コロナによる収入減や失業によって緊急かつ一時的な生計維持の必要性があれば、所得に関係なく利用できるようになりました。さらに上限額が引き上げられて返済期間も延長されています。貸し付けなので返済義務がありますが、1年後も失業中や転職活動中など返済できない状態なら免除になる可能性もあります」
新型コロナが理由で失業した場合には会社都合での退職になるので、当然ながらハローワークが窓口の失業手当も使える。また、住居を失いそうになった場合には自治体が3か月(最長9か月)分の家賃を負担してくれて返済義務もない「住居確保給付金」という制度がある。本来は失業者向けの制度だったが、新型コロナ禍を受けて、仕事に就いたままでも受給できるようになった。
ほかに、新型コロナに感染した際の支援制度も覚えておきたい。
「自分が新型コロナに感染した場合は、『傷病手当金』を使えば4日以降の休みから働けない期間に応じて標準報酬日額の3分の2が支給されます。また、もし業務中に感染したと証明できれば労災保険の『休業補償』もおりるでしょう」
事業者やフリーランスの場合は、選択肢がさらに出てくる。
「昨年と比較して売り上げが5%減以上であれば日本政策金融公庫の『新型コロナウイルス感染症特別貸付』、もしくは半減していたら国が新設した『持続化給付金』に申請してみるのがいいです。これらは制度の管轄が違うので併用できるはず。どちらにせよ、使える制度はすべて使おうと、どん欲に狙っていくべきです」
ただ、各所で報道されているように、支援制度の窓口はどこも相談者や申請者が押し寄せていて、対応が追いついていないところも多い。生活困窮者支援を長く続けてきた自立生活サポートセンター「もやい」理事長の大西連氏が話す。
「面談予約が全然とれなかったり、条件で引っかかって支給されないケースも出てきています。各窓口も人手が足りないうえに、自治体によって対応がバラバラ。ただ、柔軟に対応しようという姿勢も見える。生活保護にしても、条件自体は変わらないにせよ、面談を少なくしたり無理に就労支援に通うことを求めないなど、手続きを簡略化する役所が出てきています。今後、行政に頑張ってほしいのは広報活動。制度が多いうえに窓口もバラバラなので、必要な人まで情報がまだまだ届いていません」
支援制度はあくまでその場凌ぎ。コロナショックで大打撃を受けた生活困窮者たちの“緊急事態”は、まだまだ出口が見えない状況だ。