生命保険とは

 

 

皆さんは生命保険に加入していますか?

今回はそもそも生命保険とはなんなのか、どういう成り立ちで、出来上がり、現代に至るのかを

分かりやすく解説していきます。

 

【生命保険の成り立ち】

最初の「仲間同士の助け合い組織」は、中世ヨーロッパの諸都市で発達した「ギルド」という同業組合であると考えられます。ギルドでは、組合員に一定の組合費を払ってもらい、積み立てをしました。積立金は、仲間の葬式代や遺族の生活保障、病気や事業の失敗の救済等のためにも使われました。ギルドが生命保険の始まりであるといわれることもあります。

その後、17世紀終わり頃になって、イギリスのセントポール寺院で「香典前払い組合」が生まれました。この制度は、セントポール寺院の牧師全員で組合を作り、毎月一定の金額を払い込んでおいて、その資金で組合員(牧師)の死に備えるというものでした。

さて、香典前払い組合は、掛け金を払い込んだ年月に関係なく受け取る金額を同じにしたため、長く掛け金を払い続けなければならない若い牧師が、不公平感から次々と組合を抜け、老齢の牧師ばかりとなり、10年ぐらいでつぶれてしまいました。

一方、アミカブル・ソサエティーは、年による死亡者数の違いにより、遺族がもらえる金額が異なるという不公平が分かり、ここでも若い人の加入が減り、老齢の方の加入が増える状況になりました。そこでその対策として、加入資格を、「健康で、12歳~45歳までの者」と改め、死ぬ率の高い老齢の方は入れないという制限が設けられました。
ただし、この加入制限に科学的な根拠はありませんでした。

 

【大数の法則に基づく生命保険の誕生】

14~16世紀のルネッサンスの時代以後、ヨーロッパでは、科学の研究が盛んになり「大数の法則」も発見されました。大数の法則とは、数少ない経験では偶然に見えることでも、たくさんの例を集めて統計を取ると一定の法則がある、という自然法則です。

ハレーすい星を発見したイギリスの天文学者ハレー(1656~1742)は、1693年の「ハレーの死亡表に関する論文」で大数の法則が人間の寿命にも当てはまることを発表しました。ハレーはこの論文のなかで、生命保険料や終身年金の掛け金は、加入年齢に応じて差がつけられるべきであるとも示唆していました。

その後、ジェームス・ドドソン(1710~1757)という人物が、ハレーの死亡表に関する論文のなかの「ハレーの死亡表」の理論をもとに、年齢別の死亡率に応じた保険料を算出しました。

1762年にドドソンの考え方に基づく生命保険会社として、「エクイタブル(公平な)・ソサエティー」という会社が設立されました。

この最初の近代的生命保険会社は、それから200年以上もイギリスで営業を続けました。

 

つまり、仲間同士の助け合いの制度の始まりが、時代を経て、数字と法則に基づいて公平で合理的な生命保険制度を誕生させた。

ということです。簡単に言うとみんなで少しずつお金を出しあって、その中で誰か困った人が出たらその人にお金が届き、そのうち自分に万が一が訪れた時に、みんなからの少しずつのお金をもらうという、仲間やチームを想う助け合いが、始まりなのです。

 

【現代の生命保険】

死亡に対する世間の意識 日本は保険大国

生命保険文化センターの「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」によれば、生命保険の世帯加入率は88.7%となっており、日本の約9割の世帯が何らかの生命保険に加入しています。

生命保険の世帯加入状況
全生保 民保
生命保険加入率 88.7% 79.1%
加入件数 3.9件 3.2件
普通死亡保険金額 2,255万円 2,079万円
年間払込保険料 38.2万円 36.2万円
出典:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」より

この表をみると、普通死亡保険金額の平均額は2,255万円、世帯ごとの年間払込保険料の平均額は38.2万円となっています。月額にして約3万1,800円の保険料を負担し、いざというときに2,255万円の保険金が受け取れるというのが、現在の平均的な生命保険の姿と言えるでしょう。

ただし、これは広義の生命保険に関するデータであり、死亡保険のほか、個人年金保険や医療保険、がん保険、子ども保険などを含むデータですから、死亡保険金額はこの数値を参考にはできるとしても、死亡保険だけに関する保険料はもっと少額になるものと思われます。

近年は、晩婚化・少子化などの影響で、家族のためというよりも、自分の医療費に備えたいという保険ニーズが高まってきたことから、医療保険の加入率が大きく伸びてきています。

しかし一方で、保険加入世帯の生活保障意識としては、やはり「世帯主に万一のことがあった場合の家族の必要生活資金」としての理由が医療保障と並んで高くなっています。

具体的には「世帯主が入院した場合の必要資金(月額)」として必要だと考える金額の平均が25.7万円であるのに対し、「世帯主に万一のことが合った場合の家族の必要生活資金」として必要だと考える金額は、平均して総額5,558万円にものぼっています。

世帯主が万一の場合の家族の必要生活資金(平成30年)
年間必要額 必要年数 総額 世帯平均年収
(税込)
総額/
世帯平均年収
327万円 16.7年間 5,558万円 604万円 9.2年分
※総額は、サンプル毎の総額(年間必要額 × 必要年数)の平均値として算出
出典:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」より

また、生活保障における公的保障(公的健康保険)と私的保障(民間保険)に対する考え方については、「公的保障と私的保障の両方が必要」と考える人が79.8%にのぼり、「公的保障だけで十分」と考える人の16.1%を大きく上回っています。

なおこの調査は、無作為に抽出された一般世帯4,000戸近くを対象として行われたとのことですが、生命保険や個人年金保険などに関する知識について、「十分に知識がある」と答えた人の割合が30.5%であるのに対し、「ほとんど知識がない」という世帯の割合は66.6%にものぼっています。

 

まとめ

確かに生命保険に関する情報は膨大で、「よくわからない」「体系的な知識を勉強するのが大変」というお気持ちはよく理解できるのですが、それでも、生命保険はご本人様やご家族様の万一の際の重要な備えですから、何となく適当にしておくことはできません。

「じゃあ、一体どうしたらいいんだ・・・」と思われるかもしれませんが、そのようなときこそ、一度勉強の為に保険の代理店に行ってみて、話を聞いてみてはいかがでしょうか?

ポイントはそこで加入しないことです。一度持って帰り、冷静に考え、さらに別の人に相談する。これが一番失敗しない方法だと思います。

知らないでいるより、ぜひ一度アクションを起こしてみて、今後のためにもう一度考えてみてはいかがでしょうか?