ペルソナとは

マーケティング用語として使われる「ペルソナ」。

その業界の人は知っていても普段耳にする機会は少ないのではないでしょうか。
今回は「ペルソナ」の意味をご紹介していきます。
いざというとき、「ペルソナってなんだ?」となってしまわないよう意味を押さえておきましょう。

 

【ペルソナの意味】

ペルソナ(persona)とは、サービス・商品の典型的なユーザー像のことで、マーケティング関連において活用される概念です。

実際にその人物が実在しているかのように、年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方、ライフスタイル……などリアリティのある詳細な情報を設定していきます。

ちなみに、マーケティング関連の用語の中に、ペルソナと似た言葉として「ターゲット」「ターゲットマーケティング」というものがあります。

実は、混同してしまっているという方も多いのではないでしょうか。

商品・サービスのユーザー像を考えるという点ではターゲットもペルソナも同じですが、人物像の設定をどれだけ深くするかが違います。「ターゲットマーケティング」よりも「ペルソナマーケティング」の方が、より深く詳細に人物像を設定していきます。

 

【ペルソナの本来の意味とは】

ビジネス用語としてご紹介した「ペルソナ」ですが元々ビジネスの世界で作られた言葉というわけではありません。
本来はラテン語で古典劇で使用される「仮面」という意味で英語のpersonの語源とされています。
そして心理学者のユングは、自己の外的側面のことを「ペルソナ」としていました。逆に内面のことは、男性的側面を「アニマ」、女性的な側面を「アニムス」と名付けています。

 

【ペルソナ設定の重要性】

商品開発、マーケティングには、世代も性別も違う様々な人間が関わります。

また、個人が製品に対して考えているイメージや視点も全く同じとは限りません。

関係者の認識が共通でないままマーケティング活動を進めてしまうと、それぞれの思う人物像にバラツキが出てしまい、ターゲット像が曖昧になってしまいます。

ターゲット像が上手く定まっていない状態では、効果的なマーケティング活動が難しくなります。また、関係者の幅広い意見を1つの製品に取り入れようとして、結果的にユーザーニーズを満たす製品ができ上がらない可能性も出てきます。

そこで必要なのが、人物像への理解を深めるために「ペルソナ」を作成することです。具体的なユーザー像を設定することで*関係者間の認識を統一することができ、自社がとるべき戦略が明確になります。

 

【ペルソナ設定の仕方】

「ペルソナ」を設定する重要性はわかりましたが、どのように設定して活用するのでしょうか?
続いては、例も挙げつつ具体的な設定の仕方をご紹介していきます。

重要なのはまるで実在するかのような個人を作りあげること。そしてもっと重要なことはその人物は決して珍しいタイプではなく、結構いそうないわゆる普通の人、であることです。

当たり前ですが日本に一人しかいなさそうな「ペルソナ」を設定したところでその商品に売り上げやサービスの拡大は見込めそうにありませんよね。一見、個人一人をターゲットにするようで実は似たニーズがある人は多く存在する、というのが望ましい「ペルソナ」です。
できるだけ想像しやすいように、年齢や性別、住んでいる場所や職業はもちろん、その人物の家族構成や趣味、どのような消費行動をとっていてどんな将来を思い描いていて現在の年収はいくらか、なども詳しく設定していきます。

さらに商品やサービスによっては平日は何を食べていて休日は誰と何をするのかまで設定することもあります。多くの関係者がイメージを完成するのを助けるために顔写真を加えることまであるようです。

このようにして具体的な「ペルソナ」を設定した後で、その人がいつどんなときになぜその商品やサービスを必要とするかを考えていくことになります。

 

 

【ペルソナを設定するメリット】

 

1.担当者間で、共通した人物を形成することができる

担当者間で認識がズレたままでは、無駄な作業が発生したり、スケジュールが遅れるといったトラブルになりかねません。

ペルソナという1人の代表的な人格を設定することで、異なる分野の担当者とも共通の人物像をイメージすることができ、効率よくプロジェクトを進行することができます

 

2.ユーザー視点の精度を高めることができる

定量データや多くの情報をもとに詳細な情報まで設定したペルソナは、1つの人格のようなものです。ペルソナのニーズを満たすような製品を考えることは、そのほか多くのユーザーのニーズを満たすことにつながり、結果的にユーザー視点の精度を高めることができます。ユーザー視点の精度を高め、ユーザーが求めるものを製品に集約すれば、製品の完成度を高めることにもつながります。

3.時間、コストの削減ができる

ペルソナを設定することでユーザー像が的確になれば、その後のプロジェクトの方針もはっきりとします。

プロジェクトの方針が明確になれば、本当に効果的なアイデアだけに絞ることができるため、作業時間、実施に関わるコストなどの削減が可能です。

 

【ペルソナ設定の注意点】

ここまで「ペルソナ」について紹介してきましたが、その設定に際して注意すべき点もあります。
それは、決して「このような人が買うだろう」などという開発側の先入観で設定しないことです。

想像がつくような顧客像なら、既存の商品がニーズを満たせているでしょうし、新たな顧客を獲得するという点では、今までにないような付加価値のある商品やサービスを開発することが求められます。

そしてもう一つ注意すべきなのは「こんな人に買ってほしい」といった開発側の希望を織り交ぜないことです。

「ペルソナ」はあくまで客観的に設定してその人が「なぜ」求めているかということを考えるのが重要となります。

 

まとめ

「ペルソナ」の知識とその重要性について紹介しました。
ユーザーニーズが多様化している現代でマーケティングを成功に導くためには、ニーズを的確に把握できなければいけません。

代表的な顧客としてペルソナを設定し活用することで、背後にいる多くの顧客が求めるものを提供することができます。

ペルソナ設定は簡単なものではありませんが、ユーザーニーズが複雑化・曖昧化している今、ぜひ活用したいものです。

この機会に自社のマーケティングを見直し、ペルソナ設定を行ってみてはいかがでしょうか。