中国4千年の歴史 中国料理の歴史と文化
中国4千年の歴史といわれるように、中国は古来より高度な文化を築き上げてきました。
食文化も同様に古い歴史があり、中国料理の伝統が今に受け継がれています。
今回は中華の歴史や文化について解説していきます。
【中国料理と中華料理の違い】
まず初めに、中国料理”と“中華料理”の違いをご存じでしょうか。
日本人にとっては、“中華料理”という呼び名がすっかり定着しているかと思います。
“中華料理”は、日本人向けにアレンジされた中国料理のこと。
ラーメンやチャーハン、焼き餃子などが例として挙げられます。
逆に、“中国料理”は中国で食べられている本格的な料理を指します。
中国料理店では、腕の良い本場中国のシェフを雇っているところが多く、中華料理に比べて値段の高いお店が多いのですが、本格的な中国料理を楽しむことができます。
今回スポットを当てていくのは、本場の料理“中国料理”の話です。
【中国最古のメニュー「周の八珍」】
秦の始皇帝が中国を統一する以前の紀元前1050年頃、周王朝の時代には、すでに宴会に出される会席料理があったといいます。
これを8種類の料理からなる「周の八珍」といいます。その調理方法としては、焼く、煮る、酒漬け生物、野菜の塩漬けなどがあり、特に魚の照り焼きが大変好まれていたようです。
その後の三国時代でも、焼く、蒸す、煮る、乾す、漬けるといった調理が行なわれ、現代に続く中国料理の基本が、この時代にほぼできあがっていたようです。
日本の奈良時代にあたる随や唐の時代になると、さらに食の幅が広がりを見せます。当時の墳墓からは、副葬品として乾燥した状態の餃子やビスケット風の菓子などが出土されています。
現在の中国料理に多く見られる「炒める」「揚げる」といった調理法の起源は、日本の平安時代にあたる北宋の時代。磁器を作るための石炭窯を、料理用の炉やかまどとして使うようになって広まったといわれています。
【中華料理の特徴】
中国は広大です。
広大な土地があるゆえに、気候・歴史・文化背景の違いから、中華料理にはいくつか種類があります。
中国を東西南北で分けると、4種類にわかれます。
やはり料理が誕生する背景には、地理的特徴や歴史などが関係しています。
中華料理の基本知識として、違いや特徴などを押さえておきましょう。
1.北京料理(北方系)
中国地方の北側に位置しているがゆえ、緯度が高く、寒冷です。
寒さを乗り越えられるような肉体を作るため、高タンパクを中心とした肉類を、強い火力で調理した料理が中心です。
いため物や揚げ物も数多く見られます。
もともと宮廷料理から発達した料理のため、見た目が立派な料理が多いのも特徴です。
その一方、内陸に位置しているため、魚介類を含んだ料理は、あまり見られません。
代表料理:北京ダック、羊肉しゃぶしゃぶ、チンジャオロース、水ギョーザ。
2.上海料理(東方系)
中国東側に位置する上海は、海に面しているため、魚介類をふんだんに使った料理が特徴です。
また上海は米の生産地としても有名です。
そのため、米と魚介類を組み合わせた料理が数多く見られます。
代表料理:上海ガニ、ブタの角煮、ショーロンポー。
3.広東料理
中国の南に位置している広東地方は緯度が低いため、温暖な気候です。
温暖な気候を生かして、農産物が大変豊かです。
また海に面しているため、港都市として東南アジアや西洋諸国と貿易を交わした歴史が背景にあります。
さまざまな食材に触れる機会も多く、広東料理ではさまざまな素材を混ぜて登場するのが特徴です。
たとえば、酢豚です。
肉とフルーツが混ざっているなど、意外性のある料理もあります。
また、ヤムチャの発祥の地としても有名です。
代表料理:酢豚、フカヒレ、ツバメの巣のスープ。
4.四川料理(西方系)
四川料理の一番の特徴は、なんといっても「からさ」です。
中国の西側に位置している四川は、寒さの厳しい盆地です。
そのため発汗を促進させたり食欲を増進させたりするため、からい料理が発達しました。
体中がしびれるような、赤くてからい料理が特徴です。
代表料理:マーボー豆腐、エビのチリソース、タンタンメン、バンバンジー、ホイコーロー。
【中国八大料理】
四大料理のほかに、もっと細かく8つの地域で分類した中国八大料理というものもあります。四大料理にある、四川、広東に加え、以下の6つの地方料理に分類されます。
1.山東料理
山東料理はとても歴史が古く、素材の味を生かしたさっぱりとした塩味が特徴です。北京料理の源ともいえる中国宮廷料理は、この山東料理から派生したものと考えられています。
2.江蘇(こうそ)料理
江蘇料理は上海料理の原形ともいわれています。上海料理同様、素材の味わいを生かした調理法が特徴で、料理の見た目も大事にされています。
3.浙江(せっこう)料理
紹興酒や金華ハムの産地を擁する浙江省に伝わる料理。湖で獲れる淡水魚や東シナ海で獲れる魚介類を、淡白な味付けで楽しむのが特徴的です。
4.湖南料理
中国三大湖のひとつ、洞庭湖の南に広がる地域で食べられる料理です。辛くて酸っぱい味付けが特徴的で、日本でもおなじみのスープ、酸辣湯は湖南料理のひとつに数えられます。
5.福建料理
台湾や海南島といった中国南方で食べられる料理。海の幸を使った淡白な味わいの料理が多く、南国っぽい甘酸っぱい味付けも特徴的です。
6.安徽(あんき)料理
薬膳を彷彿(ほうふつ)とさせる、医食同源を重んじた料理の多いことが特徴的。ハムとすっぽんの煮込み、カエルのスープなど、日本ではあまりなじみのない料理が多くあります。
いかがでしたでしょうか?
中国料理の歴史と文化について解説してきました。
中国料理は長い歴史、広大な大地、地理や生活環境、産物などを背景にさまざまな知恵を巡らせて育てられた料理です。
料理の一つひとつで物語ができるほどです。
世界を代表するほどの魅力ある料理を、これまでご説明したことを踏まえて
ぜひさまざまなお店で味わっていただければと思います。