海外の医療制度と日本の医療制度の違い

 









日本に住んでいると、体調が悪くなった時に医療機関で診察や治療を受けたとき、加入している健康保険の保険証を窓口で提示すれば一定の自己負担で必要な医療を受けることができます。

しかし海外では日本とは公的な医療保険制度のしくみが大きく異なります。外国の医療保険制度はどのようになっているのでしょうか。

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日本の医療制度(社会保険方式)

わが国の公的医療保障の方式は、利用者である国民がいずれかの公的医療保険に加入し、利用者とその勤務先企業等が保険料を支払う。(労使拠出)

支払われた保険料を主な財源として(実態的には税金も投入されていますが)、利用者が病気、ケガ等に見舞われた時に、医療機関の医療サービスという保険給付を受けるという「社会保険方式」です。

わが国の医療制度が持つすばらしい特徴としてしばしば例にあげられるのは、「国民皆保険制度(全国民が公的な医療保険の保護を受けていることです。

1961年以来50年以上の歴史を持っています)」と「フリーアクセス(保険証1枚あれば、いつでも自由にどの医療機関ででも公的保険を使った医療を受けられること)」です。

医療サービスを受けた利用者には一定の自己負担(原則3割、75歳以上1割、義務教育就学前2割等)が発生します。

ただし年齢・所得に応じて、医療機関や薬局での支払い額が1カ月のうちに一定額を超えた場合には、それ以上は自己負担しなくてもいいこととする「高額療養費制度」という、医療費を原因として国民が経済的に困窮することを避ける仕組みが設けられています。

「高額療養費制度」も、他国には同等・類似の制度があまり存在しない、わが国医療制度独自の良い仕組みとして語られることが多いです。

 

ドイツとフランスは日本と同じ

日本と同じような社会保険制度を整備している国には、ドイツフランスなどがあります。

加入していると外来や入院などでかかる医療費の負担が軽減される点は共通していますが、自己負担の割合など細かな点が異なります。

たとえばドイツでは、外来でかかる医療費では自己負担はなく、入院したときには1日あたりの自己負担は10ユーロと定められています。

フランスでは外来は3割、入院は2割などとされています。また、病院の窓口ではまず医療費の全額を支払い、後で自己負担分を超えた金額を払い戻してもらう仕組みにもなっているようです。

 

税金による国営の保健サービに加入する国(税方式)

税金を財源に、国民に広く医療サービスを提供する国もあります。

たとえばイギリスは国民保健サービス(National Health Service,NHS)をすべての居住者に提供しており、医療費の自己負担は原則としてありません。

また、イギリスでは病気やケガの治療だけでなく、病気の予防やリハビリ、健康指導なども保健サービスの対象とされているようです。

 

民間保険に加入する米国の医療制度(公的医療限定方式)

米国では、公的な医療保障制度は、65歳以上の高齢者および障害者を対象に連邦政府が提供している「メディケア」と、低所得層を対象に州政府が提供している「メディケイド」があるだけです。

現役世代の人々には、民間保険会社の医療保険に加入することしか医療保障を手にいれる手段がありません。

したがって病院でかかる医療費は原則として全額が自己負担です。

このため現役世代の多くは自分で民間の医療保険に契約しています。

2014年以降は、医療制度改革法が成立したことで国民には何らかの医療保険に加入することが義務付けられています。

会社員の人は企業の福利厚生によって、勤務先を通して民間の医療保険に団体加入し、保険料の一部を事業主が負担しているところも多いようです。

 

このように、病気やケガをしたときの備えのしくみは国によって異なります。

なかでも日本は、国民にかかる医療費の負担のうち、公的な保障によってカバーされる割合が大きく、他国と比べて国による保障が充実しているようです。

 

まとめ

しかし少子高齢化が進行する中では、病気になる人が増え医療費がかさむため、現状のままでは制度を維持していくことが難しいことははっきりしています。

長生きすることで高齢期に病気と付き合いながら暮らす期間が長くなると、生涯でかかる医療費が増すためです。その保障として、民間の医療保険の存在感も大きくなってきているようです。

利用者、サービス提供者、国や県、それぞれのバランスをとりながら、海外の事例も参考に、皆が納得できる最適な対応策を見つけることが必要になっています。

もしも病気やケガをしたときには、公的な保障制度からの給付を基本に考えながら、その対象外になる出費にどのように備えるかを考えておくことも大切です。

民間医療保険に加入を検討している人や、自分に適した商品を知りたい人は、一度お近くのファイナンシャルプランナーに相談してみるとよいでしょう。