終身雇用とは
管理人おすすめサイト
みなさんは終身雇用という言葉を耳にしたことは一度はあるはずです。この終身雇用とはどのような歴史があり、今後この制度がどのように変わっていくのかということを本日はお伝えできればと思います。
定義と語源
そもそも終身雇用制度とは何でしょうか。
Wikipediaによれば、「終身雇用(しゅうしんこよう)は、同一企業で業績悪化による企業倒産が発生しないかぎり定年まで雇用され続けるという、日本の正社員雇用においての慣行である。」と記されています。
つまり、定年退職になるまで一つの企業に何十年も勤め続けることを指します。
ちなみに「終身雇用」という言葉の語源は、1958年にジェイムズ・アベグレンによって書かれた著書の中で、日本の雇用慣行を「lifetime commitment」と名付けたことが始まりであるとされています。日本語訳版では「終身の関係」と訳され、そこから終身雇用という名称が広まったと考えられています。
制度の歴史
一般企業において、現在のような長期雇用慣行の原型がつくられたのは、大正末期から昭和初期にかけてだとされています。
1900年代から1910年代にかけて熟練工の転職率は極めて高く、より良い待遇を求めて職場を転々としており、当時の熟練工の5年以上の勤続者は1割程度でした。また同時に企業にとって熟練工の短期転職は、大変なコストでした。
その対応策として大企業や官営工場は、定期昇給制度や退職金制度を導入し、年功序列を重視する雇用制度をつくり上げました。
しかし、日本における終身雇用の慣行は、第二次世界大戦による労働力不足による短期工の賃金の上昇と、敗戦後の占領行政による社会制度の改革により、一旦は衰退します。
その後第二次世界大戦が終戦し、1950年代から60年代にかけて高度経済成長時代となり、多くの企業は労働力不足に悩まされました。そして大企業による施策により、労働者を長期的に雇用する方針や慣習が一般的となりました。
「終身雇用」に対する一般的なイメージはこの頃に形成されました
終身雇用制度のメリットとデメリット
労働者側から見た終身雇用制度の最大のメリットは、前述のように「安定性」にあると言えるでしょう。終身雇用制度がきちんと機能していれば、定年までは安定した収入を得られるという「保証」を得たようなものだからです。
逆に雇用主から見たメリットは、長期的な視点で人材を育成できるということに尽きます。
企業とは結局「人」であり、自社の社風に合った優秀な人材を獲得・育成し続けることは企業の成長に欠かせない活動だと言えます。
また、雇用主側のデメリットとしては、賃金(人件費)の調整が難しくなるということが挙げられるでしょう。
人員を正社員として雇用した場合、仮に業績が悪化したとしても、簡単に解雇できません。また、通常は従業員が高齢になっていくにつれて賃金コストも上昇していきます。
さらに、従業員にとってはメリットでもある「生涯雇用してもらえる」という安心感が仇となり、従業員の質が低下していくというリスクが発生する場合もあります。「多少のことでクビを切られることはない」という一種の甘えから、従業員が成長努力を怠るようになってしまうのです。
終身雇用制度は本当に「崩壊しつつある」のか?
さて、終身雇用制度には賛否両論ありますが、2016年現在、終身雇用制度は機能しているのでしょうか? 結論から言ってしまうと、「崩壊しつつある」というより、多くの企業ですでに「崩壊している」というのが実情のようです。
例えば、就業規則で定年を60歳とうたっているにもかかわらず、業績悪化を受けて雇用を継続できなくなり、早期退職や希望退職を募るケースは年々増加の一途をたどっています。終身雇用制度とは、そもそも「業績が右肩上がりに成長する」ことを前提に考えられたものであり、想定通りに企業が成長していかなければ、現実問題として終身雇用制度を維持し続けることは困難なのです。現在の日本市場は縮小傾向にあり、戦後の経済成長期と同じような成長を見込める企業は決して多いと言えません。
ただし、日本の転職率は欧米に比べると低く、ひとつの企業に長期にわたって勤務し続ける人が多いため、終身雇用制度が完全に崩壊したと言い切れない面があるのも事実です。
同一企業で働く人は年々減少傾向
2010年に、内閣府経済社会総合研究所が、「年功賃金と終身雇用を企業が維持することが困難になった」と実証的な研究結果を報告しています。
これは新卒で採用され企業に勤め続けた男性正社員の給与が、バブル崩壊以前の1989年から2009年までの20年間で、どのように変化したのかを調査したものです。
新入社員の給与を1とし、各年齢で給与を多い順に並べることで真ん中に当たる人の賃金が何倍になったかを比較したところ、20年前における大卒の大企業正社員の場合、全産業で年齢を重ねていくほど給与が右肩上がりになる賃金カーブということがわかりました。約10年前にはカーブの傾きが緩やかになったのですが、年功序列賃金は維持されていました。
ところが2007年~2008年には調査対象の7割を占めた非製造業である小売り、サービス、金融業などで、40歳を過ぎてから賃金カーブが緩やかになり、その後の給与はほとんど上がっていません。
同じ企業で長く働き続ける正社員の割合に関しても、年代別に過去20年間にわたり調査した結果、中高年層は50%前後で大きな変化はありませんが、25~34歳は、1989年の60%が2008年には44%という数字まで下がっています。
これらの調査結果から、年功序列や終身雇用が崩壊しつつあることが実感できるのではないでしょうか。
終身雇用制度を守れなくなった主な要因
日本企業が終身雇用制度を維持できなくなったのには、どのような社会的背景や要因があるのでしょうか。
高まる人件費コスト、早期退職制度も活発に
終身雇用が崩壊する原因のひとつとして、企業にとって人件費が「削減すべき」大きなコストとして捉えられていることが挙げられます。人口が多い団塊ジュニアの世代が中高年期になることで、年功賃金では人件費が高騰し、企業の負担に直結してきているのです。
希望・早期退職者を募る上場企業の数は27社。2019年5月時点ですでに前年の12社を超えています。富士通や東芝、産経新聞社、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスなどが募集しています。
これまでは給与が年齢に応じて上がり、かつ定年まで在籍できるのが日本社会の特徴でした。そしてそれが大きな利点と捉えられていました。
ところがこのような構造の場合、高度経済成長期のようなピラミッド型の人口構成なら問題ないのですが、上が厚く下が細い、いわゆる逆ピラミッド型の人口構成では体制維持に限界が生じるのです。
高まる人材の流動性
リクルートワークス研究所による「全国就業実態パネル調査2019」の307ページのデータを見てみると、「これまで一度も退職したことがない」と回答したのは雇用者全体の31.8%で、正規雇用の男性は48.1%、女性は38.0%でした。非正規雇用では男性が15.2%、女性が10.9%となっています。
雇用者全体で見た退職回数は、1回が17.9%、2回が14.7%、3回が12.1%、4回が6.5%、5回が5.8%、6~10回が7.1%、11回以上が1.9%となり、これらのデータからも既に終身雇用の流れが衰退していることがわかります。
激動の時代に企業はどう立ち向かうべきか
このように、現時点では「完全に崩壊した」とも「崩壊してはいない」とも言い切れない曖昧な状況にある終身雇用制度ですが、時代の流れから考えて、崩壊の方向へと舵を切りつつあるのは間違いのないでしょう。
今後、日本のグローバル化が進み、欧米のような雇用制度が日本へ流入してくれば、こうした動きにさらに拍車がかかる可能性もあります。
その一方で、最近の若者は終身雇用を望む傾向が高まりつつあると言います。つまり、日常的にリストラを行うような企業は彼らの目に魅力的に映らず、終身雇用を掲げられない企業は能力ある人材を確保しづらくなるという暗黙のペナルティを課される可能性もあるのです。
このような現状を踏まえ、今後日本企業は、よい人材を獲得しつつ経営効率を維持・向上させていくため、継続的に努力していかなくてはなりません。
こうした取り組みの一例として、「終身雇用を前提とするが、給与はあまり増えない雇用プラン」と「リストラの可能性もあるが高い報酬を狙えるプラン」のように、二本立てで雇用制度を組み立てる方法も模索されています。
いずれにしても、旧来の終身雇用一本槍ではなく、戦略的に自社に合わせた雇用制度を組み立てていく必要に迫られるようになってゆくでしょう。
1社にこだわらないという働き方のひとつの取り組みとして転職が挙げられます。転職は幅広く情報収集を行い、複数社のエージェントに相談することでミスマッチングを回手に入れるべくアクションを起こしてみることをお勧めします。
求人情報の正しい見方を知ること、職場の特徴、雰囲気を確認し見極めること 転職の成功率が高い応募書類を作成することなどはぜひご一読頂けるとイメージが湧きやすいのでご参照ください。
最後に我々が調査した中で優良なエージェントをピックアップしておきましたので、そちらも宜しければご参照ください。
如何でしたでしょうか。
企業で働かれている皆さんにとってより豊かな人生を手に入れる手助けになれば幸いです。
本サイトでは様々な職種を取り巻く環境を調査し、今後の時代の流れに合わせて どういうアクションを起こすべきかを情報提供させて頂いております。
今後とも皆さんと皆さんの大切な人にとって未来を考えるサポートができれば幸いです。